魂を浄化する深い響き
天満敦子ソロ・ヴァイオリン・コンサート
タイトル | 天満敦子ソロ・ヴァイオリン・コンサート |
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日 時 | 2017年4月2日(日) 1:30pm開演(1:00pm開場) |
会 場 | 札幌コンサートホール Kitara大ホール |
料 金 |
全席指定 ¥4,000 [税込] ※車椅子席 ¥2,000 (オフィス・ワンで取り扱い) ※未就学児の入場不可 |
曲 目 |
●アダージョ~無伴奏ソナタ第1番より~(J.S.バッハ)●G線上のアリア(J.S.バッハ)●夢のあとに(フォーレ)●シチリアーナ(フォーレ)●タイスの瞑想曲(マスネ)●ユーモレスク(ドヴォルザーク)●独奏ヴァイオリンのための譚歌より(和田薫)●五木の子守唄(熊本県民謡)●ねむの木の子守歌(山本正美)●叱られて(弘田龍太郎)●花は咲く(菅野よう子)●望郷のバラード(ポルムベスク)●ジュピター(ホルスト) |
リンク | |
コード | [Pコード] 314-613 [Lコード] 12954 |
天満敦子による無伴奏ソロ・コンサートが開催されます。
今回は、戦没画学生慰霊美術館として知られる「無言館」で2016年5月に録音され「レコード芸術」誌特選盤に選ばれた最新アルバム「天満敦子 in 無言館」収録曲を中心にお贈りいたします。
「無言館」は、1997年上田市塩田平の丘に作家・窪島誠一郎が設立、日中戦争・太平洋戦争に出征、志半ばに戦死した画学生百余名の遺作、遺品が収蔵展示されております。
天満敦子は初めて訪れて以来18年の長きに渡り毎秋コンサートを開催、今や全国から多くの人々がつめかける恒例行事となっております。
いつか天満さんに、「貴女にとっての無言館とは何か」と問うたことがある。はっきりした答えはなかったが、「ここにいる学生さんたちはみんな亡くなった父と同世代なの」と一言いった言葉が印象にある。おそらく天満は、画学生たちの絵に亡父の思い出をどこかで重ね合わせ、自らのストラディヴァリウスによって父と共生する時間を、いやあの時代を生きたすべての同胞と共生する時間をもちたかったのではなかろうか。
今回、そんな天満敦子のたっての希いから「無言館」で収録された十四の楽曲にも、天満の音がもつ「共生力」がいかんなく発揮されている。
天満がこよなく信奉する現代日本指折りの吟遊作曲家和田薫の、あたかも五線譜という画布に絵筆をはしらせるかのような「独奏ヴァイオリンのための譚歌五色」。そこには自然界のあらゆる生命体の燃えたつような命の色彩があり、天満のストラディヴァリウスがその絵の具の一滴一滴を鮮やかに立ちのぼらせている。被災した母の故郷南相馬にとどけとばかりの「花は咲く」、弱音器をつけて初収録された「叱られて」、不朽の名作「望郷のバラード」にいたるまで、そのどれもが人間世界の哀別離苦、悲喜哀歓を慰め、鎮め、私たちに「共に生きる歓び」をつたえてやまないのだ。
天満の無伴奏曲が「無言館」の館内に響きわたったとき、壁にかけられた戦没学生たちの絵がピクリと動いたようにみえた。
窪島誠一郎/CD天満敦子 in 無言館」解説文より抜粋

戦没画学生の絵に捧げる・・・鎮魂の調べ
天満敦子 in 無言館
天満敦子 ATSUKO TEMMA Violin

東京都出身。6歳よりヴァイオリンをはじめ、小学校時代、NHK・TV「ヴァイオリンのおけいこ」に出演。講師の故江藤俊哉氏に資質を認められて音楽家への道を志した。東京芸術大学在学中に日本音楽コンクール第1位、ロン・ティボー国際コンクール特別銀賞等を受賞して注目を浴びる。海野義雄、故レオニード・コーガン、ヘルマン・クレッ バースらに師事。
1992年「文化使節」として訪れたルーマニアで、「ダヴィッド・オイストラフ以来の感激」(同国文化大臣)と高い評価を受け、公演は空前の成功を収めた。翌年この訪問が縁で巡り会った同国の「薄幸の天才作曲家」ポルムベスクの「望郷のバラード」を日本に紹介、以後この作品は天満敦子の代名詞とさえ言えるほどのクラシック界異例の大ヒット曲となった。憂いをおびた美しい旋律とともに、曲に秘められたエピソードも話題をよんだ。
これまで多数のCDを発売。「望郷のバラード」との巡り合い10周年を記念して2003年秋に発売された「Balada(望郷のバラード)」は高い人気を得て、ロングセラーを記録している。
2004年1月放送の「吉岡秀隆シルクロード浪漫」(東海テレビ開局45周年記念特番)では小林亜星が作曲したテーマ曲の演奏を担当。同時にCD「シルクロード浪漫」を発売。2005年12月「ねむの木の子守歌」が第47回日本レコード大賞企画賞を受賞という栄誉に輝いた。
2006年9月には"旅へのロマン"をテーマにしたCD「ツィゴイネルワイゼン」を、2007年6月には"愛"をテーマにしたCD「愛のあいさつ」をリリースし、これらもまたベストセラーを記録している。
また2005年、2008年には東京芸術大学時代の同級生、小林英之(オルガン)と共演してCD「祈り」、「祈りⅡ」を録音。これらのCDも評判を呼んで大ヒットを記録した。
2011年に母の故郷・南相馬が被災してからは“日本うた”に心の傾斜を深め、CD「ふるさとのうた」を翌年、「旅人のうた」を2015に制作、感動を呼んでいる。
天衣無縫、個性味あふれる語り口と、ステージにおける強烈な自己投入が、彼女の魅力と言われるが、その裏に秘められた深い譜読みと、絶えざる研鑽の日々を知る人は少ない。
東邦音楽大学大学院教授。松本市四賀音楽村村長。
使用のヴァイオリンはアントニオ・ストラディヴァリウス晩年の名作。